SSブログ

古文の読解 [書籍案内]

さて、前回ご紹介した、小西甚一(こにし・じんいち)の著作について。


まずは、こちら。

51YyHOxYBNL__SL500_AA300_.jpg


古文の読解

この本はm、
1962年の初版、1981年に改訂版が出て、
さらに、2010年に復刊!という、名著。


帯にも、
「今、よみがえる伝説の参考書」
とあります。

受験をひかえる高校生たちは、
第四章~の単語やら、文法やらの知識も、
よみごたえたっぷりに学べると思いますが、

第一章~第三章の、
いわゆる周辺知識(=教養)的部分を、
ちょっとだけさわるだけでも、
十分だと思います。

大学の文学部(とくに日本文学科)に入学する人なら、
事前に読んでおいてもらいたいところです。


しかし、頭を使わせる内容がところどころ織り交ぜてありますので、
読みやすいわりに、読んだ後には、
「頭が使われてるなぁ」
と、実感できると思います。


ところどころ、難解な箇所もありますが、
そこは飛ばしながらでも、
面白い部分はしっかり頭に入ると思いますよ。


さて、もう1冊は、

日本文学史

21BNPBC05FL__SL500_AA300_.jpg


古代から近代までを網羅する、ものすごい一冊。

しかし、200ページほどの薄さ。

言葉も読みやすい。

小西氏独自の展開をしてくれるので、
非常に勉強になる。

ただし、
ところどころ、専門的な研究を知らないと意味不明な箇所があるかもしれません。

たとえば、
古今集には六朝風の影響がある。
と言われたときの、「古今集」「六朝」を知らないとか。

あるいは、
うつほ物語の「俊蔭」巻には、「古宇津保」と「今宇津保」と呼ぶべきところがある。
と言われても、「古宇津保」と「今宇津保」の違いって何?って、
気になっちゃうかもしれない箇所など。


とはいえ、詳細は、
自分自身で興味を持ったところを、独自に学んでいけばよいとして、
入門として本書を読もうとするなら、
だいたいの流れを大掴みできれば、それで十分だと思います。

それにしても、
全体的視野(国内外問わず、時代問わず)の姿勢に脱帽。

でかい視野すぎて、こちらの不勉強がありありとします(笑)


ちなみに、
小松英雄氏と比べて、
若干、牧歌的な部分があるのが否めません。
それでも、当時でいえば、先進的な研究だったんだと思いますけどね。

大掴み的である魅力もありながら、
大掴み的であるがゆえに、細かい部分で「そうじゃないんじゃないか」と思える欠点もあります。

しかし、全体の評価をおとしめるようなレベルではありません。

現代の研究者の中に、
大マジメに取り組んでいながら、
まったくもって不毛な研究を実に「精力的」にやっている人もいますので、

それに比べれば、

いわゆる「昔のエライ人」のすごさ!を感じてもらえれば、
と思う2冊です。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

筑波大学小松英雄トークショー ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。